多文化間精神医学会で発表しました|オンライン復職支援の実践報告

多文化間精神医学会にて、「オンラインによる復職支援プログラム」の実践報告を行いました。
多文化間精神医学会は、国籍や文化、言語、社会的背景の違いを背景にしたこころの問題を専門的に扱う学会で、医師や心理職、研究者などが集う学術的な場です。そのような場で発表の機会をいただけたことは、とても貴重な経験でした。

今回の発表テーマは、人によるサポートを組み込んだオンライン復職支援の実践です。
職場におけるメンタルヘルス不調の増加を背景に、復職支援やストレスマネジメントの重要性が指摘されています。一方で、対面の支援にハードルを感じる方や、地理的・体調的な理由で通所が難しい方も少なくありません。そうした中で、オンラインによる支援は、スティグマを感じにくく、利用しやすい手段として注目されており(Scheutzow,2022)、オンラインでのストレスマネジメントへの介入は有効だと言われています(Heber,2017)。

しかし、先行研究では、人によるサポートを伴わないオンラインプログラム(例えば、アプリやeラーニングなど)は途中離脱率が高くなりやすいという課題も報告されています(Scheutzow,2022)。そこで、ゆるリワークでは、心理教育、グループでの交流、個別支援を組み合わせた「人によるサポート付きのオンライン復職支援」という形でプログラムを提供しています。

学会では、こうしたプログラムの内容と運用の工夫を通して、オンラインでも支援の継続性と実効性を高められる可能性があることを報告しました。とくに、業務遂行能力の回復だけでなく、ストレス対処や認知の調整を課題とする方にとって、オンライン支援は有効な選択肢になり得ることが示唆されました。

通うことが難しい方、対面に強い負担を感じる方にとって、オンラインという形が「支援につながる入口」になることがあります。今回の発表を通して、そうした選択肢の広がりを、学術の場でも共有できたことをうれしく思います。

ご協力いただいた方に、お礼を申し上げます。ありがとうございました。

この記事を書いた人

この記事を書いた人
辻本智美(公認心理師・作業療法士・精神保健福祉士)
精神科で20年以上勤務し、うつ病や適応障害などメンタル不調を抱える方の復職支援に携わってきました。
現在は、オンラインでのリワークプログラムやストレスケア講座を通じて、
「働く人が自分らしく回復し、安心して仕事に戻れる社会」を目指しています。

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