リワークには種類があります
うつ病や適応障害で休職中の方にとって、「復職はしなきゃいけない」「働かなきゃいけない」って思うものの「本当に復職できるのかなあ」と不安になることが多いんじゃないかと思います。
産業医の先生や主治医の先生などからリワークを勧められたけど、どこにどんなリワークがあるのかわからなかった、というお話をお聞きすることも。リワークと一口に言っても、実施するスタッフの専門性や内容には大きな違いがありますので、代表的なリワークの種類を手短にご紹介しようと思います。
リワークの種類4つ
1.医療リワーク
医療リワークは精神科の病院やクリニックで行われるプログラムです。医師、看護師、作業療法士、公認心理師、精神保健福祉士などの専門職がチームで支援します(ちなみに私は医療リワークに従事していました!)。デイ・ケアという外来通院治療の一環として実施されることが多く、生活リズムの確立やストレス対処法の習得を目指すことが多いです。医療機関によっては、通院先をリワーク提供機関に変更する必要がある場合も。そうなると、リワーク利用のために主治医変更をすることもあります。
【特徴】
・専門職によるサポートが充実
・医療と復職支援が連携しているので安心
2.障害者職業センターのリワーク
各都道府県に1か所以上設置された障害者職業センターのリワークは、パソコン入力や簡易作業を通じて生活リズムや集中力を回復させるほか、ストレス対処法やコミュニケーションスキルの学習を行います。また、事業主や主治医と連携しながら、復職計画の作成やリハビリ出勤の調整などを行い、職場復帰への不安を軽減します。プログラム期間は概ね3~4か月で、その前後に事業主や主治医との調整期間が含まれるので少し時間はかかりますが、スムーズな職場復帰が目指せそうです。ただし、公務員の方は利用できません。
【特徴】
・公的機関が運営しているため信頼性が高い
・職場復帰に向けた事業主との調整をしてくれる
3.EAPリワーク
EAP(従業員支援プログラムの一環として提供されるリワークです。企業が自社の従業員を対象に行うものですので、ご自分が勤務されている企業にEAPサービスがあれば、このリワークを優先して利用することが多いようです。社内で専門部署を設置する企業もあれば、外部の専門企業に委託するケースもあります。内容や実施者は様々ですが、医師が監修したプログラムであったり、保健師が関与していたり、産業カウンセラーが実施していたり、と産業保健の専門家が支援しているように思います。
【特徴】
・自分が所属する企業が提供するサービスなので、スムーズに始められる
・企業が主体となるため、職場環境に合わせた支援が期待できる
4.民間のリワーク
民間企業が運営するリワークは、その事業形態や内容は多様です。例えば、障害福祉サービスの一環として提供される「就労移行支援事業」では、職業指導員や生活支援員が職業訓練に重点をおいたサポートを行っていることが多い印象です。最近では、復職支援をテーマにする心理カウンセリング事業も散見されます。「ゆるリワーク」も民間のリワークに含まれますが、個人の事業所ですので、利用者に合わせてカスタマイズしたリワークを提供しています。休職できる期間があと少ししかないけど、今からリワークを使いたい!という時の駆け込み利用にも対応してもらえるかも。
【特徴】
・カウンセラーとの個別セッションが組み込まれていることが多い
・サービス内容や実施期間、開始のタイミングなど、自分に合ったものを選べる
まとめ
リワークを選ぶ際には、ご自分の状況やニーズに合うものを見極めることが大切です。
以下のポイントも参考にしてみてくださいね。
・復職後の課題に対応できるプログラムかどうか
・個別のサポート体制がととのっているかどうか
・自宅から通える位置にあるか、交通費や利用料の負担が大きくなりすぎないか
リワークは、ただ職場に戻るための準備をする場所ではありません。これからの自分にとって、無理なく続けられる新しい働き方を見つけるための大切なステップです。
復職後も安心して働き続けるためには、休職中の今からサポートを受けて、自分自身と向き合う時間を持つことがとても重要です。リワークを通じて、一歩ずつ自分らしい未来を築いていきましょう。