休職してから復職までの過ごし方
カウンセラーの私が、これまでに多くの方からご相談を受けて、アドバイスをさせていただいたことをまとめましたので、参考にしていただけると嬉しいです。
休職になるまで
うつ病や適応障害の症状が出てきたときに、まず最初にすること
うつ病や適応障害の症状が現われたとき、多くの人が戸惑い、不安な気持ちになりますが、まずは、疲れた心と体を休ませることが何より大切です。ここでは、症状が出てきたときに最初にやるべきことをお伝えします。
1.自分の状態に目を向ける
まず、自分の心や体の状態に目を向けてみましょう。「寝付きが悪い」「夜中に目が覚めて眠れない」といった不眠の症状は、うつ病や適応障害の初期の症状としてよくお聞きします。他にも、めまいや頭痛など身体症状が現れる場合もよくあります。「理由もないのになぜか涙がはらはら流れる」「急に手が震える」といった状態だと、「いったい自分はどうなってしまうのだろう」と不安になってしまうことでしょう。多くの方は、「まさか自分がうつ病になるなんて思わなかった」と話されるのですが、このような症状を経験したことがないので、とても不安になってしまわれるようです。
2.信頼できる人に相談する
このような症状が現われたときに、一人で抱え込まず、家族や友人など信頼できる人に現状を話してみましょう。企業の産業医や保健師に相談するのも良いですね。また、心理カウンセラーにつながる良い機会ともいえます。「最近こんな風に感じている」と伝えるだけでもかまいません。誰かに話すことで、自分の状況を客観的に捉えられるようになり、気持ちの負担が軽くなることもあります。また、相談にのってくれた人があなたのことを気にかけてくれるようになり、体を休めるようにアドバイスをしてくれたり、あなたがやらなくてはいけないことを代わりにやってくれるかもしれません。いずれにしても、あなたが信頼している人が、あなたのことを気にかけてくれるのは、とても心強いことです。
3.医療機関を受診する
症状が続くとき、仕事を減らしたり休みを取ったりしても体調が戻らないときは、ためらわずに医療機関を受診しましょう。メンタルクリニックで専門医の診察を受けることで、自分の状態を把握できます。早期に適切な治療を受けることが、症状を悪化させず、早めの回復にもつながると言えます。ただ、最近(2025年2月)では、メンタルクリニックを受診する人がとても多くなっていて、初診予約がとれなくて数か月先まで待つしかない、という状況にもなっています。そういった場合は、入院病床も併設している精神科病院で診てもらえるか尋ねてみたり、内科や女性であれば婦人科でひとまず相談をするのも良いのではないでしょうか。あまりにも辛い症状を抱えながら、初診予約が取れる日をただ待ち続けるよりは、早めに相談できる医療機関を受診することをお勧めします。私も、オンラインのカウンセリングでお話を伺うこともありますが、この時期はカウンセリングだけで解決するのは難しいこともあります。繰り返すようですが、睡眠がとれない、食事がとれないといった時は、まずは医療機関を受診するようにしてくださいね。
主治医に休職のための診断書を書いてもらう
うつ病や適応障害の症状が重く、休職を検討する際には、主治医に診断書を書いてもらうことが必要です。診断書の取得は、休職の手続きを進めるうえで欠かせない重要なステップです。「こんなことで仕事を休みたいなんて言ったら、主治医にどう思われるだろう」などの心配をせず、ありのままの状況を伝えるようにしてくださいね。
1.初診時の準備
初めてメンタルクリニックを受診する際は、できるだけ事前に準備をしておきましょう。ご家族やパートナーなど、同行してくれる人がいる場合はお願いすると心強いです。診察には30分以上の時間を要することが多いので、時間に余裕をもたせておくと安心です。また、医師に伝える内容をあらかじめメモにまとめておくと、後から「言い忘れた…」と後悔せずにすみます。「症状と関係ないかも」と自己判断せず、気になる症状はすべて伝えて良いと思われます。身体的な症状も含めて医師に伝えることが大切です。
2.診断書を依頼する際のポイント
診察で医師から休職を勧められた場合は、無理をせず休職を決断することを検討してください。診断書が必要である旨を医師に伝えれば、多くの場合、休職期間や必要な記載事項を含めた診断書を発行してもらえます。職場に提出することを前提に、診断書には具体的な病名や期間が記載されるため、職場が理解しやすくなります。休職の期間は2週間や1か月とすることも多いですが、様子を見ながら延長することもよくあります。体が十分回復するまで休職することは、再び仕事や日常生活を無理なくこなせる力を取り戻すために必要な時間を確保することです。決して悪いことではありません。
3.診断書の職場提出
診断書を受け取ったら、速やかに職場に提出しましょう。上司や人事部に相談し、必要な手続きを進めてもらいます。休職中はまず心身を休めることを優先し、治療に専念する時間を確保しましょう。診断書の提出は、不安や抵抗感を感じることもありますが、回復への第一歩としてとても重要です。休職を通じて、少しずつ心身のバランスを取り戻していきましょう。
休職の手続きについて
主治医による診断書が作成されたら、会社に診断書を提出し、手続きを進める必要があります。休職に関する制度は会社ごとに異なるため、まずは自分の勤務先のルールを確認しましょう。
1.休職制度の確認
日本の法律には、休職に関する規定が定められておらず、病気で休職するときの期間や条件は、各企業が独自にルールを定めています。会社によっては、病気休業中に一部給与が支給される場合もあれば、無給の場合や休職制度がなく有給休暇を使い果たすと退職になる場合もあります。休職制度は、正社員や一定の勤続年数が必要な場合があります。これまでに私が支援させていただいた方々は、傷病手当金を受給できる1年6か月は休職が認められる、という会社が多かったように思います。ご自分が休職制度を最長でどのくらい使えるのか(休職満了)は、就業規則に定められていますので、休職の手続きをするときに必ず確認するようにしましょう。
2.有給休暇の残り日数を確認
休職に入る前に、自分の有給休暇の残り日数を確認しておきましょう。有給休暇を消化してから休職に入るケースもありますが、復職後は疲れやすく、有給休暇を定期的に取得することで、勤務日を減らして休息をとることができます。こういった点からも、復職後に使える有給がどれくらい残るか把握しておくことが大切です。
3.傷病手当金の手続きと会社の窓口の確認
休職中の収入がどのようになるのかを事前に把握しておくと、経済的な不安を軽減できます。傷病手当金を受給する場合は、申請方法や必要書類を確認し、手続きの窓口となる人事や総務担当者と連絡をとりましょう。
休職期間中も、手続きをスムーズに進めるために会社との最低限のやり取りは必要です。経済的な補償を含め、事前にしっかりと確認することで、安心して療養に専念できる環境を整えましょう。
休職中の過ごし方
休職してすぐの過ごし方
休職が決まったら、まずはとにかくゆっくり休みましょう。これまで無理を重ねて頑張ってきた分、心も体も疲れています。休職した安心感からどっと疲れが出てくるかも。そういう時は何もせずにひたすら眠る日が続いても大丈夫です。しっかりと休むことが、回復への第一歩だと考えましょう。
1.休職の罪悪感を手放す
「仕事を休んでしまって申し訳ない」「周りに迷惑をかけている」と休職していることに罪悪感を抱くかもしれません。体は寝ていても頭の中は仕事のことばかり…。でも、病気のために休むのは決して特別なことではなく、風邪や骨折で仕事を休むのと同じで、治療のために必要な時間。自分を責める必要はありません。それでもどうしても仕事のことを考え続けてしまう、休職になった自分を責めてしまう、という場合は、カウンセリングでお話しいただくことも良いかと思います。オンラインを用いたカウンセリングもありますので、自宅から出るのが難しいという方にもお使いいただけます。
2.手続きは家族に頼ってもいい
休職に伴う手続きや書類の提出など、やらなければならないとはいえ、事務的な作業をこなすのは、まだ今はしんどいと感じるかもしれません。家族やパートナーに頼めるなら、お願いしてしまうのがおすすめです。体調が戻ればご自身でできるようになりますので、今は無理に一人で抱え込まず、周囲の助けを借りることも、しっかり休養するためには必要なことだと考えましょう。
3.食事は無理せず、自分に合った方法で
食欲があるなら、できるだけ栄養バランスの取れた食事を心がけると良いですが、食べる気力がわかない日もあるかもしれません。そんなときは、食べられそうなものを少しずつ口にするだけでも構いません。水分補給だけでも意識して続けてみましょう。休職の初期は、まず「休むこと」を最優先に。焦らず、自分のペースで過ごしてくださいね。
起き上がれるようになってきたら、少しずつ生活リズムを整える
体調が徐々に回復し、起き上がって何か活動ができるようになってきたら、少しずつ生活リズムを整えていきましょう。寝ていなくても過ごせるようになった、何もすることがないという状況をもてあましてきた、というのが、生活リズムを整え始める目安です。
1.軽い散歩や家事を取り入れる
少し動けるようになってきたら、軽い散歩に出かけてみましょう。でも、最初は長時間歩くのではなく、5分ほど家の周りを歩く程度で十分です。「うつには散歩がよいから30分は歩くぞ」と、しっかり歩くことを目指すのではなく、歩き終わって自宅に帰っても寝込まないくらいの余力を残すのが良いかと思います。それでも、「思っていたよりしんどい」こともよくあること。「散歩ができなかった」「まだ回復していないのか」と悲観的になるのではなく、「歩いてみようと思えたのは良かった」と自分を楽にする考え方を練習してみてくださいね。
2.家事をしてみる
何かやってみようかなと思ったときは、短時間だけ家事をしてみましょう。昼食におにぎりを握ったり、卵焼きを焼いたりして食べてみる、お味噌汁を味わうといった、自分の分だけの家事は良いリハビリになると思われます。洗濯機を回して、洗った衣服を屋外に干す作業も、日の光を浴びることができたり、外の空気を吸うことができたり、外の音やにおいが感覚として入ってくるので、気持ちの良い作業だと言えます。家族全員の分、となると、リハビリの域を超えてしまうかもしれないので、できれば10分~20分くらいで終わることができる作業が良いくらいですね。こういった日常生活を少しずつ取り戻すことが、うつ病や適応障害からの回復に役立ち、復職準備の一助となります。
3.朝日を浴びる
夜、眠っている間に分泌される「メラトニン」というホルモンは、朝起きて光を浴びると分泌が止まり、その後14~16時間後に再び分泌されることで、夜に眠気を感じるようになります。例えば、朝7時に太陽の光を浴びれば、夜は9時~11時頃にメラトニンの分泌が始まり、自然な眠気が訪れるという仕組みです。この仕組みを活用して、朝起きたら必ずカーテンを開けて、光をあびることが大切です。休職中は予定がないと起きる時刻がバラバラになりやすいのですが、少しずつ起きる時刻を一定にするようにしていきましょうね。
少しずつ生活リズムを整えていくことで、復職に向けた準備が進んでいきます。大切なのは、無理をせず、自分のペースでゆっくりと進めることです。オンラインカウンセリングでよくご相談を受けるのですが、この時期はまだまだ症状がぶり返しやすいので、体調が悪いときもあまり落ち込まず、焦らず過ごしていきましょう。うつ症状の回復は「三寒四温」と表現されます。少し良くなってはまたぶり返す、を繰り返しながら回復していきますので、調子が悪くなっても、回復の途中だと理解するのが良いですね。
復職に向けてリハビリを始める
うつ病や適応障害の症状が落ち着き、体調が安定してきたら、少しずつリハビリを始める時期です。だいたい同じ時間に就寝・起床できるようになり、何か活動をしたり人に会ったあとでも寝込まずに過ごせるようになってきたら、復職に向けた準備を進めていきましょう。復職しても再発せずに働き続けられるように、「リワーク(復職支援プログラム)」に取り組むことが大切です。
1.リワークを始める
リワークでは、復職に向けて一定時間課題に取り組み、集中力や作業の持続時間を確認しながら、頭を働かせる練習を行います。また、復職して休職前と同じようなストレスにさらされても対処できるよう、認知行動療法やアサーション、アンガーマネジメント、マインドフルネスなどの心理療法を学び、再発予防のスキルを身につけます。 また、休職に至った要因を振り返り、自分がどのようなストレスが苦手なのか、どのように対処すればよいのかを整理し、再発予防策をまとめる「リワークレポート」を作成します。
2.リワークを受けるには
リワークは、精神科の医療機関に併設されているデイケアや、都道府県に1か所以上設置されている障害者職業センター、障害福祉サービスである就労移行支援事業所などで受けることができます。通所型のリワークは、通勤訓練を兼ねていて、職業訓練の要素も強いと言えます。
一方で、自宅から通えるリワークが近くにない場合や、まずは自宅でリワークを受けて、何かに取り組むことに慣れてから通所型のプログラムを利用したい場合、また心理療法を用いたストレスケアスキルを重点的に学びたい場合には、自宅にいながらオンラインで受講できる「オンライン型復職支援プログラム ゆるリワーク」もおすすめです。「ゆるリワーク」は、自分で自分をケアできるようになることを目指して、心理療法を学びます。復職しても再発しないように、休職中から準備をします。
最近は色々なリワークがありますので、自分の状況や目的に合わせてちょうどよいリワークを選ぶのが良いですね。リハビリ期は焦らず、自分に合った方法で進めることが大切です。自分の体調と相談しながら、一歩ずつ復職に向けた準備を進めていきましょう。
スムーズに復職するためにやるべきこと
うつ病や適応障害の症状を再発させないようなストレス対処のスキルを学び、「復職してもなんとかなりそう」と思えるようになったら、復職を考え始める時期です。ご自分の休職満了期間が近づいているのであれば、それも意識して逆算して考えましょう。復職の手続きを始めても、実際に復職ができるまで1~2か月かかってしまう企業も少なくありません。余裕のあるスケジュールで準備を進めるのがおすすめです。
1.主治医に復職の意向を伝える
まずは「主治医に復職の意向を伝えること」が重要です。私がカウンセリングでお聞きする方の中にも、「自分から復職したいと主治医に伝えてもよいのか」「主治医から復職の話題を出されることがないのは、まだ復職が早いと思われているからだ」と考えて言い出せないと話される方もいらっしゃいます。けれども、治療の主体は自分自身であり、復職について自ら切り出すことは何の問題もありません。自分の意思を大切にしながら、主治医と相談を進めていきましょう。
2.復職のための診断書を提出する
主治医に復職の希望を伝えたら、現在の体調や仕事への適応能力について相談しながら、復職が可能なくらいに回復しているかを確認します。復職が可能と判断された場合は、診断書を作成してもらいます。復職後の業務に関して配慮が必要な場合は、事前に主治医に相談し、診断書にその内容を記載してもらうとよいですね。
3.診断書を提出する
診断書ができたら、会社へ連絡をし、診断書を提出します。企業によっては、産業医や保健師、人事担当者、上司との復職面談が行われることもあります。この面談では、休職の経緯や休職中の過ごし方、現在の体調、治療の状況について質問されることが多く、復職後にストレスにさらされたときの対処方法についても話し合います。
ただ、復職を最終的に判断するのは会社側です。診断書があるからといって自動的に復職できるわけではなく、企業側が復職の可否を判断します。そのため、会社の求める基準を満たせるよう、主治医とも相談しながら復職準備を進めることが大切です。
4.復職面談で話すこと
復職面談では、復職後の業務に関する調整も行われます。たとえば、勤務時間や残業の有無、業務内容の調整、リハビリ出勤の可否などが話し合われます。特に、休職の原因となった職場環境や業務内容がそのままだと、再発の可能性もあるため、必要に応じて配慮を求めることも大切です。復職面談でうまく自分の思いを伝えられないかも、という場合は、リワークのスタッフに相談して、一緒に考えてもらいましょう。
復職の日が決まり、不安感が増してきたら
復職の日が決まると、それまで落ち着いていた気持ちが揺らぎ、不安が一気に押し寄せてくることがあります。長い休職期間を経て、再び職場に戻るとなると、「また同じようにしんどくなったらどうしよう」「再発してしまったらどうしよう」といった不安がよぎるというお話は、オンラインカウンセリングでもよくお聞きします。
職場の先輩や同僚にどんな顔で会えばいいのかを考えると憂鬱になることもあるかもしれません。休んでいる間に仕事のやり方が変わっているかもしれない、周りのペースについていけるのか不安だとおっしゃる方もおられます。さらに、初日のことを想像するだけで緊張し、心が重くなり、「本当に復職して大丈夫だろうか」と自信をなくしてしまうこともあります。
1.ストレス対処法を実践してみる
こうした不安や恐れが次々と押し寄せ、気持ちを支配されそうになるときこそ、リワークで学んだストレス対処法を実践するチャンスです。不安を感じるのは、それだけ自分のことを大切に思い、慎重に復職を進めようとしている証拠です。その不安と上手に向き合いながら、ストレスコーピングの方法を取り入れてみましょう。
不安感を和らげる方法として、まずは「今できることに目を向ける」ことが大切です。復職前にできる準備を少しずつ進めることで、不安を軽減することができます。例えば、職場の環境や業務内容を確認したり、勤務スケジュールを整理したりすることで、具体的な対策を立てやすくなります。
また、心理の専門家であるカウンセラーと、認知行動療法を試してみるのも良いですね。リワークで学んだスキルを実際に使いこなすことができれば、自信を取り戻して復職への不安がやわらぎそうです。不安はこれから先に起こることへの予測から生じるものですが、今の自分にできることに意識を向けることで、少しずつ気持ちを落ち着けましょう。
2.一人で抱え込まない
復職への不安が押し寄せたときは、一人で抱え込まず、リワークのスタッフや信頼できる人に相談することが大切です。不安を言葉にすることで、自分の気持ちが整理され、具体的な対策を見つけるきっかけにもなります。休職中に信頼できるカウンセラーを見つけておくと、復職後も自分の経過を理解している相手に話せるため、しんどいときに一から状況を説明する負担がなく、気持ちを楽にすることができそうです。不安を感じるのは、それだけ復職に真剣に向き合っている証です。その気持ちを否定せず、受け入れながら、自分のできることから少しずつ前に進んでいきましょう。
復職後に備えて、カウンセリング予約をとっておく
うつ病や適応障害で休職した後、復職することは大きな一歩です。しかし、復職後は環境の変化や新たなストレスで心身ともに疲れやすくなります。そんなときに頼れる場所を確保しておくことが大切です。その一つがカウンセリングの予約です。
1.復職すると疲れてしまって予約の手続きが負担になる
復職後は、久しぶりの仕事に気を配ったり、通勤のストレスを感じたりと、思っていた以上につかれるものです。「事前に準備をしていたのに」と思うかもしれません。また、休職している間に仕事の進め方が変わっていたり、上司や同僚が異動していたりして、戸惑うこともあるでしょう。でも、「昨日まで休みをもらっていたのに、しんどいなんて言うわけにはいかない」と、無理をしてしまいがちです。そのような時に、気軽に話せるカウンセリングの場があると、気持ちを立て直して、リワークで学んでストレス対処法を使うことを思い出せるかもしれません。
復職してからカウンセラーを探したり、予約を取ったりするのは意外と負担が大きいものです。ですので、復職前の余裕があるうちに予約を入れておくのがおすすめです。復職支援の経験が豊富なカウンセラーなら、復職直後にしんどく感じるのは自分だけではなくよくあることだと教えてもらえて、気持ちが軽くなるかもしれません。
2.休職中からなじみのカウンセラーさんを見つけておく
休職中にリワーク施設を利用していた場合は、そこで関わったスタッフやカウンセラーに相談できると安心感があります。すでに自分の状況を理解してくれているため、復職後の悩みもスムーズに話しやすく、適切なアドバイスをもらいやすいでしょう。
また、復職後は仕事に慣れるだけでもエネルギーを使うため、平日日中にカウンセリングの時間を確保するのが難しくなることもあります。そのため、土日や平日夜に対応してくれるオンラインカウンセリングであれば、仕事をつづけながら使いやすいので、おすすめです。
再発せずに働き続けるために
復職したら気をつけること
うつ病や適応障害で休職して、復職をしたときは、「これまで休んでいたのだから、その分を取り戻さないと」と考えがち。無理をしすぎると再び体調を崩してしまう可能性がありますので、復職後はできるだけ自分のペースを大切にしながら働くことが重要です。
1.完全にマイペースで働くのは難しい
無理をせず自分のペースで働くといっても、復職の条件として「業務をこなせること」が求められるため、完全にマイペースで働くことは難しい場合もあります。そのため、自分の状態を考慮しつつ、職場の期待値とのバランスを取ることが大切です。業務の優先順位をつけ、できる範囲から少しずつ取り組むようにすると、負担を減らしながら仕事に慣れることができそうです。また、疲れを感じたら適度に休憩を挟むことで、体調を崩しにくくなります。
2.ストレスサインをとらえる
復職後は自分のストレスサインを意識的にチェックすることが大切です。朝起きるのが極端に辛くなったり、仕事中に集中力が続かなかったり、頭痛や胃の不調が現れることがあります。また、気持ちが落ち込みやすくなったり、イライラしやすくなったりすることもストレスのサインです。こうした変化に気づいたら、意識的に休息をとったり、信頼できる人に相談したり、生活リズムを整えたりすることで、症状の悪化を防ぐことができます。
3.休職中に準備したクライシスプランを使ってみる
ストレスサインに気づいたら、復職前にリワークで作成した「クライシスプラン」を活用しましょう。クライシスプランを活用することで、冷静に状況を整理し、適切な対処がしやすくなります。クライシスプランには「どんなときに体調が悪化しやすいか」「そのときに試すべき対処法」「相談できる相手」などを記載するので、復職後に調子が崩れそうだと感じたときは、まずクライシスプランを見直し、自分がとるべき行動を確認してみましょう。
「復職したばかりなのに、ストレスを感じるなんて周りからどう思われるんだろう」と不安になるかもしれませんが、復職後のしんどさは、オンラインカウンセリングでもよくお聞きします。復職してすぐのときは、通勤するだけで疲れるものです。体が慣れてくるまでは無理をせず、カウンセラーに相談することで、適切なストレス対処法をアドバイスしてもらえるかもしれません。ストレスを感じたときは、一人で抱え込まず、上司や同僚、家族など信頼できる人に相談することも大切です。
復職して仕事になじんできたら
復職してしばらく経つと、「もう大丈夫かもしれない」と思える瞬間が増えてきます。特に半年ほど経過すると、職場の人たちもあなたが休職していたことをあまり意識しなくなり、以前と同じように接してくれることが多くなります。職場に馴染めた証拠でもありますが、同時に気をつけるべきポイントもあります。
1.気づくと業務量が増えている
周囲があなたの休職を忘れることで、気が付くと業務量が増えていることもあります。頼られる機会が増えたり、新しい仕事を任されたりすることもあるかもしれません。調子が良いときは引き受けても問題ありませんが、無理をしすぎてストレスサインが現れるようなら要注意です。以前のように無理をしてしまうと、また体調を崩すリスクが高まります。
2.7~8割のエネルギーで
復職後の働き方としておすすめなのは、常に全力で頑張るのではなく、7~8割のエネルギーで仕事をこなす意識を持つことです。「7~8割といわれても具体的にどうすればいいの?」と思うかもしれません。力の抜き方がわからないときは、「時間」を指標にするのがおすすめです。1時間で仕上げるぞ、と気合を入れているときは、プラス15分くらい時間をかけても良いと考える、どうしても残業をする、というときは、想定している残業時間の7~8割できりあげる、といった感じです。このように、少し余裕を持って働くことで、心身のバランスを保ちやすくなります。無理をしすぎず、自分のペースを守ることを大切にしましょう。