オンライン復職支援プログラム ゆるリワーク

春のメンタル不調

春にメンタル不調を感じやすいのはなぜ?


春にメンタル不調を感じやすいのはなぜ?

―復職を考えるあなたへ、心がゆらぎやすい春の過ごし方-

少しずつ暖かくなってくる春は、本来なら気持ちが軽やかになる季節。
けれど実際には、「なぜか気分が落ち込む」「やる気が出ない」と感じる方が増える時期でもあります。

 とくに、復職を考え始めている方にとっては、春という季節がさまざまな心の揺れを引き起こすきっかけになることがあります。


 今回は、春にメンタル不調が起こりやすい理由を、私がカウンセリングの中で出会ったご相談事例も交えながらご紹介します。

自律神経が乱れやすく、心も体も疲れやすい季節

 春は気温の変化が激しく、晴れたり曇ったり、急に寒さが戻ったりと、環境が安定しません。
そのため、私たちの体は自律神経をフル稼働させて体温調整や血圧管理をしなければならず、知らず知らずのうちに疲労がたまりやすくなります。

 さらに、日照時間の変化も体内リズムを狂わせやすく、睡眠の質や気分にも影響を及ぼします。
こうした影響は、体のだるさや頭の重さ、なんとなく元気が出ないといったかたちであらわれることもあります。

「冬が終わったはずなのに、まだ気持ちが晴れない」
「ぼんやりしていて、集中できない」
もしそんなふうに感じることがあれば、それはあなたの心と体が「ちょっと休もうよ」とサインを出してくれているのかもしれません。

新年度の変化が、焦りや不安を呼び起こす

 春は新年度のスタート。職場では人事異動や組織変更が行われ、雰囲気や人間関係がガラリと変わることもあります。
 この時期は、例え復職していなくても、その“変化の空気”が心に影響を与えることがあります。

 実際に私のカウンセリングを受けてくださった方の中には、こんなお話をされた方がいました。
その方は現在、うつ病で休職中。まだ本格的な復職準備には入っていない状態でしたが、春になり、職場での人事異動の話が耳に入ってきたそうです。

 自分の部署で上司と同僚が異動になることがわかり、残されるのは新しく入ってきたばかりの、仕事に不慣れな後輩たちだけ。
「自分が戻らないと、現場が回らないのではないか」そんなふうに思うようになり、いてもたってもいられないような焦りの気持ちが出てきた、と話してくださいました。

 このようなケースは決して珍しくありません。
 春という季節は、周囲の変化をきっかけに、「自分も早く復職しなければ」という気持ちに自然と駆られやすくなりますよね。

 でも実は、その焦りの裏には「~するべき」や「本当なら~なのに」という「べき思考」が隠されているかもしれません。「べき思考」は、認知行動療法では、考え方のクセと呼ばれる、自分を辛くさせる考え方の一つです。責任をもって物事を成し遂げるという意味では、とても大切な力ですが、あまりにも「べき思考」にとらわれてしまうと、うつ病や適応障害からの回復途上の心には、大きな負担となってしまうことも。

 焦る気持ちが出てきたときは、まず立ち止まって、「べき思考の考え方だな」ということに気がつくこと、そして、「自分に優しい考え方に修正できないかな」といったん考えてみることが大切ですね。

春こそ、自分をゆるやかに整える時間を

春は、気候・環境・気持ちの面で大きな変化が重なる季節。
だからこそ、無理をせず、自分のペースで体調を整えていくことが良いですね。