公務員として働く方々の中には、長時間労働や精神的負担により、休職を余儀なくされるケースが少なくありません。しかし、いざ復職しようとすると、公務員特有の事情によりスムーズにリワーク(職場復帰支援)を受けられないことが課題となることも。今回は、カウンセリングでお聞きすることの多い公務員の方が抱えるストレスや、リワークの選択肢の現状についてお伝えします。
公務員のしんどさ:ストレス要因はどこにある?
1. 異動が多い!
公務員は、一定期間ごとに異動があるのが一般的です。そのため、ようやく業務を覚えた頃に異動となり、また新しい仕事をゼロから学び直さなければなりません。民間企業のように「専門性を深める」働き方ではなく、「幅広い業務を経験する」ことが求められるため、業務に対する達成感を得にくいことがあるようです。
2. 県民・市民の方からの苦情対応
行政の仕事は、市民や県民からの問い合わせや苦情対応が避けられません。特に窓口業務や生活関連の部署では、「説明しても理解されない」「手続きに必要な書類を準備してもらえない」「クレーム対応に追われる」といったことが日常茶飯事だったりします。こうした対人ストレスの蓄積が、精神的な負担になってしまいます。
3. 決裁のハードルの高さと書類の修正の多さ
公務員の業務では、何かを決定するために複数の上司の決裁を得る必要があります。このプロセスが非常に時間がかかる上に、一度承認を得たと思っても、細かい修正が何度も入ることがあります。修正のたびに作業が増え、効率的な仕事が難しくなるのも、公務員特有のストレスの一つです。
公務員向けリワークの選択肢とその課題
休職後の復職をスムーズに進めるためには、リワークプログラムを活用することがおすすめなのですが、公務員の方が利用できるリワークには、いくつかの制約があります。
1. 障害者職業センターのリワークは公務員対象外
全国の都道府県には障害者職業センターがあり、職場復帰支援(リワーク)を提供しています。しかし、これは雇用保険適用事業所の従業員が対象であり、公務員の方は利用できません。そのため、民間企業の社員であれば受けられる公的なリワーク支援が、公務員には開かれていないのが現状です。
2. 医療機関のリワークを受けるには通院先の変更が必要?
病院やクリニックが実施するリワークもあります。このような医療リワークは、医師や看護師、公認心理師、作業療法士、精神保健福祉士といったメンタルヘルスの専門家により実施されます。ただ、ご自分が通院している医療機関でリワークが行われてない場合、リワークを提供している医療機関に通院先を変更しなければならないケースが比較的多いようです。主治医が変更になることで、治療方針が薬が変わるかもしれないことに不安を感じたり、これまでの経過を新しい主治医にいちから話さないといけないのか、と負担に感じてしまい、結局リワークを利用しないというケースもあります。
3. 就労移行支援事業所のリワークは就労支援がメイン
民間の就労移行支援事業所でもリワークプログラムを提供していますが、基本的には「もともと障害がある人の就労支援」がメインであり、心理療法やストレスケアに関する支援というよりは、職業訓練を得意としている事業所が多い印象です。休職の要因に「発達の特性があって仕事をうまくこなせなかった」という課題をかかえている場合は、就労移行支援事業所を活用することがおすすめです。
公務員の方がスムーズに職場復帰を目指すには、自分に合った支援を選ぶことが大切です。ゆるリワークのオンラインリワークやカウンセリングなら、通院先を変えることなく、専門的なサポートを受けながら復職準備が進められるので、活用していただけると嬉しいです。