職場のメンタルヘルス対策が強化される方向へ
うつ病や適応障害で休職しているけど、復職してもまた、ストレスがいっぱいで、しんどくなってしまいそう…と不安に感じるお気持ちを、カウンセリングではよくお聞きします。
でも、少しずつではありますが、職場のメンタルヘルス対策の重要性が認識されつつあるので、今日はそのことについてお伝えします。
2025年1月17日「今後の労働安全衛生対策について」厚労省で審議されました。
近年、厚生労働省のデータでは、メンタルヘルス不調で休業や退職に至る方が増加しており、職場の環境改善が重要な課題となっています。その一環として導入されたストレスチェック制度は、従業員一人ひとりのストレス状況を把握し、職場環境の改善につなげる手段の一つです。この制度が効果的に活用された職場では、従業員のストレスが軽減されるだけでなく、職場全体の雰囲気も改善された事例が報告されています。
現在、このストレスチェック制度は従業員50人以上の事業場に義務付けられていますが、今後は50人未満の小規模事業所でも取り組みが広がることが、2025年1月17日の労働政策審議会で議論されました。ストレスチェックを実施する際の、労働者のプライバシー保護や実施体制の整備が進む中で、小規模な職場でも導入しやすいようにと検討されています。このような流れは、全ての職場でメンタルヘルス対策が進むきっかけになると期待されています。
厚生労働省「令和7年1月17日労働政策審議会 安全衛生分科会報告」
従業員がストレスを感じることに、企業の規模は関係ないですよね。小さな事業場であっても(むしろ小さいほど?)、業務量が多かったり、一人で色々な業務を担っていたり、対人関係が濃密だったり…と、ストレスにさらされやすいんじゃないかと思うのです。
集団分析とは?ストレスチェックが職場環境を改善する手がかりに
さて、ここで特に注目されるのが「集団分析」です。「集団分析」は、ストレスチェックの結果を集計し、職場全体の傾向や課題を見える化することで、職場環境改善の手がかりが得られるものです。この取り組みは必ずしも大規模なものである必要はなく、たとえば「意見を気軽に話し合える場を作る」「働きやすい物の配置の見直し」といった小さな一歩でも効果が期待できます。
カウンセリングでは、色々な職場のお話をお聞きするので、職場の環境や人間関係が、働く人の心に影響を与えるものだといつも思います。
同じような仕事内容でも、職場の雰囲気やサポート体制によって、ストレスの感じ方が大きく変わることもあります。また、経営者や上司が従業員の話を聞いてくれる職場だと、従業員の安心感やモチベーションが高まるともよくお聞きします。
職場は、仕事で困ったことを相談できたり、安心して先輩や同僚とコミュニケーションが取れる場所であってほしいと感じます。お互いに違う価値観を持ちながらも認め合える関係性が理想なのですが…。そして、そういった理想の職場を築く手がかりとして、ストレスチェックや集団分析はとても有用だと感じています。
もちろん、従業員一人ひとりが、ストレスにさらされても受け流せるようなスキルを身に着けることも大切です。職場環境改善と従業員個々のストレスケアという相互の作用で、安心して長く働き続けられる職場になるのではないかと思いました。